着実な成長ができるのも、会社の安定があってこそ。
管理職を目指して、しっかりと道を踏みしめていく。
- #水と住まいの事業
2025.09.18
水、電気、ガス、通信――これらの「生活インフラ」は、日常の中で意識されることは少ないものの、私たちの暮らしを根底から支える存在です。蛇口をひねれば水が出る、スイッチを押せば電気がつく。そんな「当たり前」を守り、支えている企業があることをご存じでしょうか?
渡辺パイプは、長年にわたり日本全国の給排水設備や管工事、住宅関連資材の提供を通じて、元気で快適な生環境を提案してきました。近年では、災害時に備えた復旧支援体制の構築に注力しています。災害やインフラの老朽化、過疎化といった課題が明らかになる中で、これからのインフラには「強さ」と「柔軟さ」の両立が求められています。
今後も、技術革新と人の力を組み合わせながら、インフラを未来につなげる。渡辺パイプはその“パイプ役”として、社会の基盤を担い続けていきます。
水道インフラの老朽化や災害による断水、さらには世界的な水不足――こうした水問題は、今や誰にとっても身近な社会課題となっています。渡辺パイプは生活インフラを支える企業として、この問題に真正面から向き合うべく、2022年6月にスタートアップ企業「WOTA株式会社」への出資を行いました。WOTAは、小規模分散型水循環システムと水処理自律制御技術を開発し、上下水道に依存せずに水を再生循環利用できる仕組みを実現しています。
この技術の根底には、「水問題を構造からとらえ、解決に挑む。」という強い理念があります。WOTA CEOの前田瑶介氏は、徳島の自然豊かな環境で育ち、中学時代に環境問題への関心を抱くようになりました。
高校時代には水処理の研究に取り組み、東京大学では都市インフラや途上国スラムの生活環境を、大学院では住宅設備(給排水衛生設備)の研究に取り組みました。前田氏が水インフラに着目したきっかけの一つは、東日本大震災でした。発災前日に大学の合格発表のため上京し、震災当日に東京で一時断水を経験。近くの神田川の水を使えるか周囲に尋ねても、誰も答えられませんでした。一方、徳島県の自然豊かな地域で育った前田氏にとって、住民が自分たちの生活用水の水源を当然のように知っている環境は当たり前のものでした。
その対照的な状況に強い違和感を覚え、都市インフラの脆弱さを痛感。そこから「個人でコントロールできる水インフラをつくりたい」と考えるようになったのです。
その問いに対する一つの答えが、「持ち運べる水インフラ」の開発でした。たとえば、ポータブル水再生システム「WOTA BOX」は、使用した水を98%以上再生して循環利用することが可能な装置で、断水状況下でも清潔なシャワー入浴を実現します。通常、シャワーを浴びるには1人につき40〜50リットルの水が必要となり、100リットルでは2人程度しか利用できない一方、「WOTA BOX」は同じ100リットルで約100人がシャワーを浴びることができます。
前田氏が確信を得たのは、ケニアのマサイ族の集落を訪れたときのことです。現地では冷蔵庫やスマートフォンが使われている一方で、水は遠くから運ばなければならない状況が続いています。「水インフラだけが世界に届いていない」という現実を目の当たりにし、土木(建設業)的なアプローチではなく製造業的なアプローチで水問題を解決する必要性を痛感したといいます。つまり、配管を敷設するのではなく、家電のように簡単に導入できる水インフラを目指す。その構想が形となったのが「WOTA BOX」でした。
こうしたWOTAの技術を社会に届けるために不可欠なのが、現場での施工や流通を支えるパートナーの存在です。全国にネットワークを持ち、生活インフラに精通した渡辺パイプとの協業は、まさに社会実装の鍵を握るステップです。災害時の支援から、過疎地域への日常的なインフラ提供まで──両者が手を取り合うことで、水のある暮らしを一層多くの人へ届けることが可能になります。
生活インフラを支えるという使命に、未来の技術と強い信念が交差する。WOTAとの協業は、渡辺パイプが歩む次のステージであり、社会が求める新たなインフラの形でもあります。
上下水道に依存せず、使用した水の98%以上を再生して循環利用することを可能にするポータブル水再生システム。シャワーキットと組み合わせることで、100Lの水で約100人が入浴できる水循環型シャワーとして使用できます。水循環型シャワーは2人作業の場合、約15分で設置可能で、地震や風水害などの発災時にもすぐに使うことができます。2024年の能登半島地震においては断水が長期化した石川県の6市町(珠洲市、輪島市、能登町、穴水町、志賀町、七尾市)に約100台が展開されました。シャワーキットは個室式であるため、自衛隊入浴支援などの従来手段の利用が難しい災害時要配慮者(高齢者、障害者、乳幼児、妊産婦など)であっても比較的容易に使うことができます。また、平時にはマラソン大会や自治体主催の防災訓練といった屋外イベントで活用されています。
上下水道に依存せず、使用した水の98%以上を再生して循環利用することを可能にする水循環型手洗いスタンド。20Lの水で約500回の手洗いが可能であり、スマートフォン除菌機能も備えています。電源があれば平常時・非常時を問わず使用可能なフェーズフリーの手洗いスタンドとして、日本全国の公共施設や商業施設に導入されています。2024年の能登半島地震においては断水が長期化した石川県の6市町(珠洲市、輪島市、能登町、穴水町、志賀町、七尾市)に約200台が展開され、避難所だけでなく、特に衛生環境整備が必要な病院や介護施設等でも活用されました。
WOTAとの協業が、災害時の水問題解決に貢献するように、渡辺パイプは生活インフラを担う企業として、災害発生時により広範な復旧支援に力を入れています。地震や豪雨など、自然災害が多発する現代において、インフラの「早期復旧」は人々の命と暮らしを守る重要な要素です。当社は、全国の水道資材メーカーや管工事業者と連携し、緊急時の資材供給ネットワーク「ライフライン・ネット」を構築しています。
この仕組みは、災害発生時に迅速に必要な資材を確保し、全国の支店・営業所・物流拠点から現地へ配送する体制を整えたものです。さらに、全国管工事協同組合連合会との覚書締結により、現地での施工支援とも密接に連動し、復旧作業のスピードと精度を支えています。
過去の災害対応を通じて築かれたこのネットワークは、被災地で必要な物資を、必要なタイミングで、必要な場所へ届ける仕組みです。この「当たり前」を実現するためには、平時からの備えと信頼関係の積み重ねが欠かせません。
日頃の準備が、非常時の安心につながる。生活インフラの専門家として、渡辺パイプは今後も日本各地の復旧活動を力強く支え続けます。
◆ライフラインネット紹介動画はこちらから
災害は、突然やってきます。そのとき、自分と家族の安全を守る準備ができているかどうかが、生死を分けることもあります。渡辺パイプでは、全国の拠点に保存水・非常食・簡易トイレなどの災害備蓄品を配備。年2回の棚卸しと補充を通じて、常に最新の状態を保つ体制を築いています。
2024年末には、能登半島地震の復興支援の一環として、水循環型シャワー「WOTA BOX」の社員研修が金沢で実施されました。実際にシャワーを使用した社員からは、「寒さの中でも快適に浴びられた」との声が上がり、装置の有用性が実感されました。こうした実地訓練は、災害時に迅速かつ冷静に行動するための大きな土台となります。
(左図:社員研修会の様子)
備えは、企業が人々の安全を守るための信頼の証です。渡辺パイプは、インフラ企業としての使命を全うするだけでなく、社員やその家族、地域社会に寄り添い続けます。私たちの採用サイトでも伝えているように、「変わり続ける変わらない暮らしのために」、渡辺パイプは生活インフラを支える企業として、今後も多様な取り組みに積極的に挑戦していきます。
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